1FD linuxでお気楽CATVインターネット
はじめに
インターネットが一般に普及し始めたころ、モデムやTAで一台のマシンだけをインターネットに接続することが一般的でした。LANに接続された複数のマシンからインターネットに接続するには、プロクシソフトを入れたり、LinuxやFreeBSDをインストールしてPCをルータにする必要がありました。
現在、MN128をはじめとするNAT機能搭載のISDNルータの低価格化で、気楽に複数のマシンをインターネットにつなげられるようになりました。
ところが、CATVインターネットでは、ケーブルモデムから一台のPCにイーサネットケーブルで直結するようになっているため、ISDNルータを使った複数台の接続ができません。(ハブを通した複数台の接続をサービスしているところもありますが、別料金になるうえ、台数制限があります。)
そこでまた再び,PCをNATルータにする必要が出てきました。しかしこれにはLinuxやFreeBSDの知識が必要で、Linuxをいじること自体が趣味ならともかく、ISDNルータ並にお気楽というわけにはいきません。
目的
1枚のフロッピーに入ったLinuxでDHCPサーバ、NATルータを動作させることで、
1台の契約で複数台のマシンからインターネットに接続でき、個々のマシンの設定が不要な、
ISDNルータと同様なお気楽接続を実現する。
Floppyで動作させる利点
- インストールが不要
- 電源をいきなり切ってもOK
- linuxの知識がなくても使える
Floppyで動作させる欠点
- プロクシサーバやファイルサーバといった拡張ができない
用意するもの
- 古いPC(AT互換機)
386や486のもので十分です。メモリ8M程度残して,HDDやCD-ROMは不要なので部品取りに使ってかまいません。
- 2枚のNIC(ネットワークカード)
NE2000互換と3com 3C509のみ対応です。1000円台の安いNICは大抵NE2000互換だと思います。PCIタイプのほうが設定が簡単です。
- フロッピー1枚
フロッピーの作成
- floppyfw.exeをダウンロード、実行します。
-
Please insert a formatted diskette into drive A: and press -ENTER-:
と表示されるので、フロッピーを入れてEnterキーを押します。
- しばらく待てば終わります。
設定
CATVインターネットのサービス会社によって,DHCP接続の場合と固定IP接続の場合があります。
DHCP接続の場合
Windowsでの接続の際に「IPアドレスを自動的に取得」に設定するように指定されている場合、特に設定の必要はありません。
固定IP接続の場合
Windowsでの接続の際に「IPアドレスを指定」に設定するように指定されている場合、
少し設定が必要です。
フロッピーをドライブに入れて、WindowsやDOSから
A:\CONFIGを編集します。
例: [スタート] [ファイル名を指定して実行] notepad A:\CONFIG
加入時に
「IPアドレス」
「サブネットマスク」
「ゲートウェイ」
「DNS(ネームサーバ)」
「ドメイン名」
を書いた紙をもらえると思うので、下記部分を書き換えます。
OUTSIDE_IP=IPアドレス
OUTSIDE_NETMASK=サブネットマスク
DEFAULT_GATEWAY=ゲートウェイ
NAME_SERVER_IP1=DNS
DOMAIN=ドメイン名
OUTSIDE_BROADCAST=
NAME_SERVER_IP2=
は省略できます。不明の場合は空欄のままにしてください。
マシンの設定
NICの設定
PCIのボードであれば設定は不要です。
ISAのボードの場合,LinuxではWindowsのようにPlag & Playで認識させるのは(いまのところ)面倒なので、ボードについてきた設定ツールでIOPORT,IRQを設定します。2枚のボードのIOPORTやIRQが重ならないようにしてください。
NE2000の場合、Linuxで自動認識するIOPORTは0x300,0x280,0x320,0x340,x360,0x380のようです。0x240とかに設定できるボードもありますが、自動認識しないのでフロッピーの設定ファイル(SYSLINUX.CFG)を書きかえる必要があります。
BIOSの設定
フロッピーから起動するように設定します。通常は、フロッピーにディスクが入っていればフロッピーから、なければハードディスクから起動するようになっていると思います.
クライアントマシンの設定
ハブにつながっている別のマシンは、「IPアドレスを自動的に取得」「WINSの解決をしない」「DNSを使わない」「ゲートウエイを削除」に設定します。
起動
- 二つのNICのうち一方をケーブルモデムに、もう一方をハブにつなげます。
- フロッピーを入れてリセットします。
(フロッピーから起動しない場合、BIOSの設定を確認してください)
- ハブにつながっている別のマシンでWindowsを起動します。(もしくは、[スタート] [ファイル名を指定して実行] winipcfg で[書き換え(N)]を押す)
- IPが取得できたら成功です.1/2の確率で成功します。
- 失敗したらケーブルモデムとハブへのケーブルを逆にして、2.へ戻ります。
ライセンスその他
このフロッピーイメージは
floppyfwをベースにCATV向けにパッケージングとスクリプトの修正を行ったものです。
ライセンスはGPL,BSDその他の混成ですが、基本的に配布可・変更可のようです。詳細はフロッピーの\LICENCESディレクトリを見てください。
おわりに
CATVインターネットに加入したとき、ISDNルータのような複数台接続(といってもマシンが複数あるだけで同時に使うことは少ないのですが)をしたくて、そういうルータがないか調べました。ところが、イーサネットからイーサネットからのルータ(ローカルルータというらしい)はウン十万円もするそうです。
どう考えてもルータ機能+ISDN TA機能のあるISDNルータよりルータ単体のほうが安くなりそうなものですが、ISDNルータの利用者が増えて劇的に値下がりしたのに対し、ローカルルータは業務用の価格のまま据え置きと言うことなのでしょう。
しょうがないのでFreeBSD2.2.7を入れてNATルータにしました。
(このときLinuxにしなかったのは、たまたま2枚のNICをうまく認識しなかったため)
そのころからFDで運用したいとは思って調査はしていたものの、HDで問題無く動いているので面倒になってのびのびになっていました。
最近、知り合いの会社やら友人がCATVに加入してさすがにインストールや設定のほうが面倒で(というより、電源ブチきりとかされたときに復旧が大変なので)floppyfwを見つけました。
そのままだとDHCP接続の場合に内部のDHCPが動作しなかったので適当に動くようにして,ついでに公開したものです。
追記:現在はもっと安いローカルルータも出てきているようです。
こっち買ったほうが楽でしょう。
こちらにまとめられています。
関連リンク
動作実績
動いたら教えてね。
1999/12 [email protected]